移住したきっかけを教えてください

出身は山形県米沢市で、大学で福島県に行き、就職で東京に出ました。5年ほど東京で勤務後、仕事の都合で中国の広州というところに転勤になり、中国で約5年間駐在。駐在中に同じく中国で働いていた妻と知り合い結婚しました。その後、出産を機に日本に帰国しましたが、半年ほどで仕事の都合で再び中国へ戻り、2年半ほど家族で暮らしていました。

2020年の旧正月に一時帰国のつもりで日本に帰ってきたら、ちょうど新型コロナが世界的に流行り出し、もともと予定をしていた飛行機もキャンセルとなり中国に戻れなくなってしまいました。そのため、はじめは横浜の妻の実家にいましたが、横浜では息子の預け先などなかなかなく、僕の実家のある山形へ移動し、そこでなんとか息子を預かってくれる幼稚園を見つけることができたので、しばらくの間は息子を預けながら仕事をしていました。しかし、その後僕はどうしても仕事の都合で中国に戻らなければならず、妻と息子を山形の実家に残し、一人中国へ戻りました。

この時に山形で唯一息子を預かってくれた幼稚園が「森のようちえん」でした。はじめは夫婦ともに何も意識をせずに預けていたのですが、「森のようちえん」ののびのびと子どもを生活させてくれる環境がすごく気に入り、夫婦で「森のようちえん」にすっかりハマってしまいました。

僕は単身で中国に行っていましたが、2021年1月にまた日本に帰国しました。長引くコロナ禍により、再度家族で中国に行くのが当面の間難しそうだったので、しばらく日本に住むことを考えた時に重きを置いたのが「森のようちえん」でした。ようちえんのその先のしょうがっこうを見据えた時に、同じような教育方針のしょうがっこうを探したときに見つけたのが、ここ北九州にある「森のようちえん」と「風の森しょうがっこう」だったんです。僕も妻も、北九州どころか九州に縁もゆかりもなかったのですが、北九州について調べると、北九州は当時いた東北に比べ非常に温暖で、自然災害も少なく、とても良さそうな場所だなと。そこで森のようちえんに問い合わせたところ、ちょうど息子の年次に一人枠が空いているということだったので、一度北九州にようちえんの体験と家探しを兼ねて1週間ほど滞在しました。ようちえんとの相性もとても良く、家もなんとか決めることができたので、2021年9月に移住しました。

僕も妻も自営業で、どこにいても仕事が可能ということもあり、息子を北九州の森のようちえん、風の森しょうがっこうに通わせるための、いわゆる「教育移住」という形の移住です。

平日や休日はどのように過ごされていますか？

僕は現在貿易仲介業をしています。主にアパレル製品を取り扱っており、日本のお客さんから注文を受け、中国現地で仕入れた商品を検品後納品、また生地から手配して生産などしています。
働く場所は特に関係なく、どこでも仕事が可能なので、基本的には自宅で仕事をしていますが、出先のカフェなどで仕事をすることもあります。
妻はアクセサリーブランドを運営しており、在庫を持つ必要はありますが、僕と同様にあまり場所を選ばず仕事が可能なので、自宅で一緒に仕事をしています。

息子が通っている森のようちえんは9時〜15時まで預かってくれるので、平日は息子を預けて仕事をして、また迎えに行ってという生活です。僕も妻も自営業で仕事をしているため、なんとか時間を確保して仕事せざるを得ないので、幼稚園のあとにファミリーサポートで預かっていただいたり、別の学童に連れて行ったりもしています。

休みの日は夏は毎週のように海や川、プールに行っていました。北九州は平尾台などもあったり、子どもを連れて遊べるところがたくさんあるので、子育てをするにはちょうどいいと思います。

最近は息子が少し大きくなったことで、僕もやりたかったスケボーが一緒にできるようになったので、北九州スケートボードパークに行って家族で楽しんでいます。

昨年新しくオープンしたスペースLABOにも何度か行きました。息子もとても楽しんで、初めて行ったときなんて3〜4時間も滞在しました。

子育ての面で、関東での暮らしと違う部分はありますか？

様々な面で子育てはとてもしやすいと思います。
横浜に住んでいた頃は基本的に電車移動だったのですが、通勤の時間帯などは人が多く乗れないこともあったり、車内で息子がうるさくしてしまうことにはすごく気を遣いました。
北九州では基本的に車移動になったので、息子が騒いだりすることで気を使う必要もなくなり、満員電車に乗る必要もなくなったので、そういったストレスはなくなりました。

また、関東や東北にいた頃は家の近くに公園が少なかったのですが、北九州に引っ越してからは家から徒歩10分圏内に10箇所近くあります。
公園や他の子ども向けの施設など、子どもを連れて行けるところが多いなと思います。晴れたら公園や動物園、平尾台などにも行けますし、雨が降っても室内施設の元気のもりがあったり、子どもを遊ばせられる場所が多いので、とにかく子育てがしやすいです。
僕は勝手に“公園の多さと子育てのしやすさは比例”していると思っています。

他には、北九州は人が優しいなと思います。
関東や東北にいた頃は、公園に息子を連れて行った際に、自分の子どもが他の知らない子と勝手に遊び始めたら他の親御さんの目を気にして謝ることもありました。北九州では子ども同士が遊び始めると、親御さんのほうから積極的に声を掛けてくれて一緒に遊んでくれたり、気持ちがとても楽です。

今後の目標を教えてください

森のようちえんに息子を通わせていて教育は大事だなとつくづく思います。この先、教育に関する事業も自分たちで何かやれないかと考えており、それこそ森で活動させるようなこともやりたいですし、僕たちが中国にいたこともあるので海外を子どもたちに見せれたらなとも思っています。
小学生中学生くらいまでは、森など自然の中で生活させるスタイルがとにかく重要だと思います。 

北九州への移住を考えている方へのメッセージ

日本の中で比較したときに、北九州はベターだと僕は思います。
僕自身、出身が山形、学生時代は福島に住み、東京にも仕事で住んでいたことがあります。妻の実家のある神奈川にも少し滞在したことがあり、さらには中国にも数年住んだことのある経験を踏まえ、様々な場所を知った上で北九州は本当にちょうどいい場所だと思います。

北九州は自然と都市機能がほどよく混ざり合っているという面でも、特に子育て世代にはすごくいいと思います。

北九州にはこんなにいい所やいいモノがあるのに、北九州の方々は意外と気付いていない方が多いと思います。僕のように外からきた人にしかわからない、外からきたからこそわかる良さみたいなものでしょうか。僕自身ももし「山形のいいところは？」と聞かれると恥ずかしながら即答できないのですが、それと同じかなと思います。よそ者のほうが他と比較がしやすいのでいい所に気付きやすいですね。     

ずっと同じ場所にいると比較がしづらい部分も、僕ら家族は関東や東北に住んだことのある経験から比較して「北九州最高！！」って感じです。なので、北九州に移住を少しでも考えている方々に、「こんなに子育てしやすい環境はないですよ」、「北九州本当にいいですよ」ということをアピールしていきたいです。